2011年7月31日日曜日

「キシャクラブ」というしくみ

 2009年5月28日付のニューヨークタイムズ が、小沢事件が、民主党を次期総選挙で敗北に追い込むための国策捜査である可能性が高く、官僚権力(ここでは検察)と結託するマスコミもそれにのって、野党第一党の党首を辞任に追い込んだ。

と、世界に報道した。

 カナダde日本語 さんの全文和訳

スキャンダル報道で、メディアは情報を流すだけ
マーティン・フェックラー (By MARTIN FACKLER)
2009年5月28日

東京 ? 東京検察官が3月に次期総理候補の野党党首小沢一郎の秘書を逮捕したとき、次期選挙で敗北するのが確実視されていた自由民主党 を延命させるかのごとく、民主党にダメージを与えるスキャンダルを誘発させた。多くの日本人が権力の不正行使に抗議したが、大手新聞社やテレビの報道が国民の真の声を覆い隠してしまった。

その代わりに、メディアはほとんど建設会社から野党党首、小沢一郎に渡った違法献金についての検察からのリークに薄くベールをかけた匿名による証言の流れを次から次へと額面どおりに垂れ流した。このような否定的な報道が何週間か続いた後、小沢氏は、民主党 の代表を辞任した。

小沢氏の辞任は又、さまざまな検察への批判を引き起こした。政治関係者や、普段はめったに公で検察のやり方を批判しない一部の元検察官からさえも批判の声があがった。検察への苦情は、政治的干渉を責めたものから、検察官が単に逮捕のタイミングに配慮が欠けていたことを批判するものまで広範囲にわたった。

しかし、警告として、学者や元検察官らは、検察の情報をこの事件の答えとして流すニュース・メディアの失敗を指摘した。特に、国が半世紀にわたる自民党政治から二大政党制に変わろうとしている日本の民主主義にとって大切なときに、このようなことが行われるとは。

京都大学で国際政治学を教えている保守派学者の中西輝政教授は、「マスメディアは、何が危うくなっているのか、人々に告げるのに失敗した。それは、日本が政府を変えて、政治的閉塞感を打ち破る最高のチャンスを逃そうとしているということだ。それも、国民が全く気づかないうちに」と語った。

今回の逮捕は、有権者の間にベテランの政治的なボスである小沢氏が、政権交代を切望していた自民党に比べて、少しもきれいでなかったのではないかという恐れを確認させることになった。又、それは、9月初旬までに実施されなければならない選挙に先駆けて、一時的に野党を脱線させたように見えた。世論調査での民主党の支持率も下がった。だが、その支持率は、スタンフォードで教育を受けたエンジニアの鳩山由起夫新代表が今月、代表選で選出された後、わずかにはね返った。

確かに新聞は検察を非難する意見も一部載せたが、日本のジャーナリストは彼らの報道が小沢氏にとっては厳しく、検察の捜査に対しては一般に好意的だったことを認めている。しかし、彼らは、ちょうど検察の言いなりになったり、リークされた情報を繰り返し報道しているのではないかという指摘に憤慨する。

ザ・ニューヨーク・タイムズが日本の大手新聞社である朝日新聞に質問したところ、「朝日新聞は検察のリークをそのまま記事にすることは決してありえない。」という返事が書面で届いた。

しかし、ジャーナリストは、報道が、過去にも何度も問われた日本のニュース・メディアの独立性についての問題を認めている。日本の大手報道機関は、国家権力と親密でありすぎることを長い間問題視されてきた。

実際、学者たちは小沢事件の報道のおかげで、例えば、因習打破主義的なインターネット起業家堀江貴文のような、少し前にあえて新しい会社の設立に挑んで逮捕された人々を肯定的に報道することにもつながっていると言う。

上智大学でジャーナリズムの教鞭をとる田島康彦教授は、「ニュース・メディアは権力の監視者であるべきだが、彼らはむしろ、権力の番犬のように振舞っている」と述べた。

米国でも、どこでも、ニュースメディアは政府に近すぎるとの似たような批判に直面しているが、問題は日本でより大きなものとなっている。政府との居心地のいい絆が、「記者クラブ」という仕組みをつくり、一般に、大手メディアのメンバーだけが出入りできるようになっている。

このシステムが、大手報道機関に政府報道を鵜呑みにした記事をかかせることにつながると、長い間批判されている。ジャーナリスト達は、「記者クラブ」にかかわらず、独立性を保っているといっているが、情報へのアクセスを失うことを脅しに、時々、政府寄りの記事を強制して書かせられているとも言われている。

先月、日本の大きな全国紙に比べて小さな日刊紙であるが、しばしば全国紙より政府に批判的である報道で知られている東京新聞 は、小沢氏に献金した同じ会社から寄付を受け取った与党議員についての調査の記事を載せた後、3週間、東京検察官と話すのを禁止された。

東京新聞によれば、単に検察が公表されることを望まなかった何かを報道したことが理由で罰されたと伝えた。「検察官に逆らうことは、最後のメディアタブーのうちの1つ」と、東京検察官の記者クラブの新聞担当報道長官、瀬口晴義は言った。

チェックの働きを怠ったニュースメディアは、検察が説明することなく自由に行動するのを許した、と野党社会民主党衆院議員の保坂展人議員は語った。保坂議員は、今回の検察による調査について、彼のブログ で広範囲にわたって書いている。

保坂展人氏は「小沢氏がターゲットとなったのは、民主党が検察庁を含む官僚機構の簡素化をスローガンに掲げていたからだ」と信じていると述べた。(東京地方検察署は、タイムズが記者クラブのメンバーでないことを理由にインタビューの申し出を断った。)

日本のジャーナリストは、日本の次の首相になる予定だった男について、国民が知る必要があったという理由を挙げて、小沢氏に対するネガティブ・キャンペーンに的を絞り続けた。そして又、ジャーナリストは、リポーターの間では、彼らが調査の焦点である人々についてスクープを得るとより多くの料金をもらえるために、小沢氏についてより多くの記事が書かれたと言う。

「我々がスキャンダルについて書けるだけ書く競争が始まった」と朝日新聞の東京地方検察署担当者、市田嵩氏は語った。しかし、このことは、西松建設が自由党民主党の議員に献金したことに関して深く調査したのが、なぜ非常に限られた記者だけだったのかという説明にはならない。

答えは、ほとんどの日本人記者が承知しているように、検察の言うとおりに書くほうが、独自の記事を書くことによって検察を怒らせるという危険を冒すことより簡単だったからだ。

ニュースメディアは、小沢氏に関する調査についての記事に見られるように、無慈悲に協力しあうので、以前はそんな報道から利益を得ていた元検察官らさえそんなメディアを批判し始めた。

「私が検察官だったときは気分がよかった。」と36年間検察官を勤めて、今は退職している宗像紀夫氏は言った。「でも、今は1人の市民として、騙されたように感じる。」

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 「ツナミ」と同じように「キシャクラブ」という日本語はそのまま世界に通じる言葉である。
それほど悪名高い「記者クラブ」のことはマスメディアでは全く取り上げられることはなかったし、現在でもそうだ。

7月28日 すでにチェルノブイリの3分の1相当の放射能が出て進行中 小出裕章(京都三条ラジオカフェ)

 福島第1原発の状況に関して東電・政府の発表をそのまま鵜呑みにしてマスコミは報道するがもはや素人の国民ですら全く信用していない。汚染水循環冷却システムなど、どうでもいいような成果だけを発表して最も重要でやらなければならないことができていないということを報道しない。外国人記者対象の記者会見には誰も出席者がいない。東電・政府の記者会見は全く無駄だと判断されている。日本の記者クラブのメディアだけがまるでコピー機のように聞いたことだけを報道する。
 マスメディアに限れば日本のジャーナリズムは地に落ちた。
1号機はメルトスルーが起きてすでに核燃料が原子炉の中に無い状態なのにどうして安定的な冷却という言葉が出てくるのか素人でもおかしいのが分かる。2号機、3号機にいたってはいまだに人が近づけずに原子炉の状況すらつかめていない。それなのに計画の第1ステップが終了したなんてどんな顔をして言えるのだろうか。

 極端に半減期の短いものを別にすれば放射性物質は無くならないと考えるべきだ。一旦撒き散らかされたものがどういう分布で溜まっているのか国を挙げて測定・調査しなければならなのに全くせずに肉牛だけがスケープゴートのようにされてしまった。汚染水が建て屋から漏れ出して海をどれだけ汚しているか、こういうことも今後外国から文句を言われるまでおそらく沈黙状態だ。

 いわば犯罪を犯した犯罪者(東電、国)が言い訳ばかりをしている、できるだけ事実を隠したい。そんな犯罪者の言い訳を犯罪者の弁護人かのように報道するだけのマスコミ。

2011年7月30日土曜日

中国高速鉄道の事故

 隣国の鉄道事故に嬉々として報道するマスゴミ。
まるで日本には事故がなかったかのように。
日本の鉄道事故 (2000年以降)

 原発の事故でどういう報道をしてきたかもう忘れたのか。

 中国の鉄道省に関係する汚職は空恐ろしい程のものだと思うが、温家宝首相は民衆の怒りに際して汚職の徹底追求も言及した。弾圧にも抵抗して民衆は立ち上がっている。この事故の対応をさして中国の民主主義は三流だと皮肉ったブログを見て日本の国民はどこまでマスゴミに洗脳されてしまったのかと哀しい思いがする。

 隣国の悪口を言う前に自国のことが全く分かっていない。ウォルフレン・小沢対談でも大きな話題の一つに「何故、日本の国民はこれだけの民主主義の大きな危機を前にして立ち上がらないのか?」だ。

 マスゴミは3.11を境にいまや信用はがた落ち、特に福島へ行けば全く無視されているというが、放射能汚染が日本全国規模、いや世界規模だということを認識できず、原発のそばでないからと他人事のように思っているのは政府ばかりじゃないのかも。

 米国MIT教授:ノーム・チョムスキーは米国にいて米国政府を辛辣に批判するが他国の悪口は言わない。ただ助言はしてくれる。日本の知識人よ、他国の批評をする前に日本がしてきたことを知っているのですかと。

衆議院厚生労働委員会 「放射線の健康への影響について」 児玉龍彦教授発言 7月27日

「明日に向けて」というブログに詳しく演説の内容がまとめられている。

放射線の健康への影響について(児玉龍彦教授国会発言)

 原発の放射能汚染地域で放射線の測定、除染をやっている専門家の怒りの演説だ。
例えば:
「私が一番申し上げたいのはですね、住民が戻る気になるのは、行政なり何なりが一生懸命測定して、除染している地域です。ですから測定も除染もなければ、「安全だ」「不安だ」と言われても、信頼できるところがありません。ですから、「この数値が安全」「この数値がどう」ということではなしに、行政の仕組みが一生懸命測定をして、その測定に最新鋭の機械を投じて、除染に最新鋭の技術をもって、そのために全力でやってる自治体が、一番戻るのに安心だと思います。」


児玉教授の息子さんの教授国会発言関係のツイートまとめ

7/30リンクを追加:
東大・児玉龍彦 国会で怒りの訴え - 参考人発言、質疑応答文字起こし

2011年7月29日金曜日

小沢一郎、公開討論会と記者会見

 7月28日午後4時から自由報道協会主催で、
「小沢一郎×カレル・ヴァン・ウォルフレン公開討論会&小沢一郎記者会見」があった。

 小沢一郎に対して検察がやっていること、マスコミがやっていること、
これらは非常にバカげたことだとウォルフレン氏は言う。

 未曾有の大災害、原発事故があってもなくても、
アメリカ、世界の経済はとんでもない危機状態にある。
何かが終わろうとしている。
そんな時に日本のためにとても大切な有能な政治家を抹殺することが
どんなにバカげたことかと。

 記者会見でも大災害、原発事故への対応に関する質問がやっぱり多いが、
世界規模で見た場合の世界の政治・経済の破綻という津波から日本を救うこと、
という視点がウォルフレン氏に指摘されて気がついた。
 小沢一郎は言う、改革をするためには3.11というものを活用するんだ、
3.11という大義名分で思い切った根本的なことが今ほどできるチャンスはないと。
目から鱗だ。

2011年7月24日日曜日

もうすぐやってくる、また広島・長崎の日が

 <米国のトルーマン政権は、何ゆえに、ポツダム宣言の原案から「天皇制の維持」を匂わす一節を削除し、2発の原爆を投下するまでは、日本の降伏を許さなかったのでしょうか。原爆を投下した直後に態度を急変させ、日本を降伏に誘ったのはなぜでしょうか。広島への投下の3日後に無警告で、庶民の居住する地区に落とそうとしたのはなぜでしょうか。>という疑問から始まった。
 今年も公開講座が開かれます。
 長崎で原爆投下決定を考える-日米専門家による公開セミナー(8月8日)
  Public Seminar on Atomic-bombing in Nagasaki (August 8) 

 研究成果としての著作物:『広島長崎への原爆投下再考 - 日米の視点』
(法律文化社 2010年 木村朗/ピーター・カズニック著 乗松聡子訳 藤岡惇・乗松聡子の寄稿あり)
書評(中国新聞)

書評(長崎新聞、図書新聞)

書評(週刊金曜日)

藤岡惇「米国はなぜ2発の原爆を投下したのか」
Atsushi Fujioka: Why the US Dropped Two Abomic Bombs


 2005年にはこんな本がすでに出ています。
原爆を投下するまで日本を降伏させるな
——トルーマンとバーンズの陰謀 (鳥居民)

既存の権威を崇め奉る池田信夫氏とは如何なる人物

 もともと経済学なんてちんぷんかんぷん、全く理解できないものとしてきた。
でもそれじゃ面白くないので毎日新聞社の雑誌「エコノミスト」を読み始めた。
もちろん若い頃の話しである。そこで金子郁容という経済学者の書いた記事がお気に入りだった。
 退職し、趣味の生活ばかりになり、そういう雑誌を全く読まなくなったのでネットで金子郁容を検索すると門下生の一人に池田信夫がいたのである。それで池田信夫氏のブログを読むようになる。

 ところが3.11以降に原発問題をテーマにしたものは論理がでたらめ。
脱原発を感情的で論理的でないと批判しているくせに本人の論理自体がむちゃくちゃ。
原発推進ではないと言いながら反原発も脱原発も悪口雑言でこてんぱんにこき下ろし、
原発問題は私の知ったことではない、何も分からない、というのが本音のようだが、
かといって「知らない」「分からない」とは絶対に言わない。
 原発問題に関してどうしてこんなに論理の通らない無知のようなことが書けるのか不思議だった。
たまたま標題のブログを見つけて読むと、私の疑問は私だけじゃなかったと理解した。

 標題のブログに紹介している:ニコ生動画:上杉隆氏×池田信夫氏「検察リークと記者クラブ報道にマジレス」
を見ると本当に呆れる。人の話を聞かない、相手の言葉を遮る、質問と関係のない答えを大きな声でわめく、しかも何度も同じことを繰り返して言う、言葉使いや対話・会話の基本からして人間性を疑いたくなる。司会役の女性も含めて3人の中でただひとり人間失格という感じでこんなのは対談でも何でもない。他のメンバーが良く辛抱して冷静に対応していることに感心した。

 ネットで有名になりブログのコメントなどで批判的な質問が向けられると、
素直に「知らない」「分からない」と言えずに「怒り出す」。
患者にわからないことを質問されて怒り出す医者と同じなのかも。

2011年7月23日土曜日

ビキニ被ばく受け原子力協力 米公文書、日本人は核に「無知」

 共同通信が米国立公文書館で収集した各種解禁文書は、核に「無知」な日本人への科学技術協力が「最善の治療法」になるとして、原子力協力の枠組みや日本人科学者の米施設への視察受け入れを打ち出す過程を明記。

2011/07/23 19:32 【共同通信】

 今頃報道しても遅きに失す。
読売新聞の正力松太郎が全面的に推進してきたのも、アメリカは日本国民がマスコミに大きく影響されることを知っていたからです。

 日本の原発反対派は左翼の反核運動とまぜこぜに利用されて、米国の「赤狩り」よろしく反政府、反体制というレッテルを貼られてきたのが日本の原発の不幸な歴史です。

2011年7月20日水曜日

戦争の回避

 米国(軍産複合体)はソ連という脅威がなくなって心底落ち込んだと思う。軍事予算が縮小すればお先真っ暗。9.11を一番待ち望んでいたのは、こともあろうに米国自身だった。アフガン、イラク、北朝鮮という新たな脅威を作り軍事予算は増強された。それに日米同盟の中味も改訂された、日本は米国の戦争に協力するように。  北朝鮮が民主国家であろうがなかろうが、軍事的な脅威がなくなれば一番困るのは米国(軍産複合体)。日本にいかがわしいミサイル防衛システムなど売れなくなるから。  日本の核武装が抑止力になるという人がいるが、日本に対して先制攻撃した場合に反撃されるおそれがあるから抑止になる、ということだが日本なんて小さな国は先制攻撃で全滅し反撃など不可能だ。その場合同盟国の米国が反撃するだろうか。米国本土に反撃されるおそれのある攻撃を米国が他国のためにやるはずがない。同じ理由で米国の核の傘なんて無意味だ。  では、日本は他国の脅威にどう対応すればいいのだろうか。日本を軍事的に攻撃すればメリットよりもデメリットのほうが大きい場合だ。例えば中国は日本を侵略するメリットより遙かに大きな経済的な損失を受けるなら攻撃しないだろう。直接日本との経済関係がなくなる上に国際的な経済制裁を受けるだろうから。  経済的・文化的な共存・共栄が深まれば軍事衝突の危険は少なくなるだろう。北朝鮮もしかり。やはり貧しいと言うことが最大の諍いの原因だと思う。世界から貧困をなくすのが人類が滅亡から逃れる唯一の方法じゃないだろうか。