2012年5月2日水曜日

「東京地裁判決は小沢さん無罪をこのように説明している~判決批判する前に読んでほしい!:日隅一雄氏」  検察・司法・検察審査会


【コメンテーターの皆様への補足】

1 「限りなく黒に近い灰色」というコメントをした方へ

刑事事件は、検察側が立証して初めて有罪になります。検察側が立証できなかったら、白です。何故、限りなく黒に近いというのか、その理由を説明してください。今回の件は、外形的に事実と違う記載があったことまでは裁判所が認定することは予測されていたため、最大の争点は、小沢さんの違法性の認識の有無です。その最大の争点を検察側が立証できなかったのですから、完全に検察側の負け、白です。

そもそも、刑事事件の無罪判決は、「立証不十分」とするのが通常であり、それを乗り越えて、さらに、「無実」だと書くことはほとんどない。例外的に、「アリバイが成立する場合」、「ほかに犯人がいる場合」があるが、それ以外の無罪判決では、立証不十分で無罪ということになる。私が担当して無罪になった件は、行為者の故意が問題となったが、判決は「立証不十分で無罪」というものだった。

 このコメントをした人は、たとえば、今回の事件で、判決がどのような表現をしたら、「限りなく黒に近い灰色」でなくなるのですか?教えてください。



2 「国会で説明するべきだ」というコメントをした方へ

何を説明するべきかを具体的に述べてください。判決を読めば、本件の詳細は分かるのであり、それ以上に何が聞きたいのですか?4億円の出所ですか?それについても、判決は触れていますよ。国会で質問する議員は、今回の裁判で出た以上の何か新しい証拠でも持っているのでしょうか?そうでないなら、国会での質問は裁判所でなされたこと以上のことはできないのではないですか?



3 「知らないと言うだけで済ませるわけにはいかない」

知っていることを立証するのは、検察側の責任です。単独事件では、外形的な行為から意図まで立証できるケースが多いので、このことをあまり考える必要がないのですが、本件のように、実行した人(石川秘書)とそれに関与したとされる人(小沢さん)などの複数が関与する場合には、それぞれの思惑が違うことがあるため、検察側が関与したとされる人の意図(違法性の認識)まできちんと立証する必要があります。それに失敗したのです。結果があっても、直ちにその結果に責任を問うことができないことは、同じように包丁で人を刺しても、最初から刺す気だったのか、転ぶ拍子に手にしていた包丁が刺さったのか、包丁で斬りかかってきた人に抵抗しているうちに斬りかかってきた人に包丁が刺さったのかで、まったく、責任が違ってきます。結果だけで責任を考えるような制度は日本ではとられていません。



…ほかに、どのようなコメントがされたか、ご存じの方は、コメント欄に残してください。補足して説明します。

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